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市内のちょっと珍しい文化財を紹介(7)団子を食べて無病息災 ~どんど焼き~

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神奈川県綾瀬市

お正月行事の一つとして知られるどんど焼きとは、どういう文化なのでしょうか。

■宮中の行事がどんど焼きに
平安時代、1月15日に京都御所清涼殿の東庭で青竹を束ねて立て、正月に使った扇子や短冊、吉書(きっしょ)などを添えて焼いた宮中の左義長(さぎちょう)という行事がありました。この火祭り行事が民間に広まり、どんど焼きになったといわれています。
どんど焼きは、セエトバライの他、団子を焼くことからダンゴヤキなどともいわれる、小正月(こしょうがつ)の行事です。小正月は正月期間の節目の日で、この日を境に日常に戻ります。小正月は、1月14日〜16日の間というところが多く、綾瀬でも15日までは小正月だという記録が残っています。

■無病息災を願い正月飾りを燃やす
市内では、以前は1月14日に地区の講中(こうじゅう)や組合の人々が、集落のつじつじでまつっていた道祖神を中心に行っていました。道祖神のお祭りという側面もあり、どんど焼きのときには、道祖神ののぼり旗も立てられました。
現在では、講中の他に自治会や子ども会でも伝承されています。参加しやすいように、14日前後の日曜日に実施される傾向があります。
内容は、地域によりさまざまですが、共通しているのは、正月のしめ飾りや門松などのお飾り、書き初めを燃やし、その火で柄が長い三つまたの枝に三つ刺した団子を焼いて食べるということです。その団子を食べ、1年間の無病息災や五穀豊穣(ほうじょう)、魔除(まよ)け、盗難よけなどを願った他、養蚕(ようさん)を行っている家では良い繭がとれることを願いました。
子どもの書き初めを燃やすことで、習字が上達するともいわれます。子どもを見守る神様でもある道祖神と深く関わりのあるどんど焼きには、子どもの成長に関する願掛けが多いことも特徴です。

■どんど焼きの団子って?
どんど焼きで欠かせない団子は、米を洗って臼でひいた粉を湯で練り、蒸して作るものです。自分の年の数ほど作ったようで、家族の分を含めると200個ほどになることもありました。丸形の他、小判形や繭形のものもあります。
色は、白が基本ですが食紅で赤くしたり、ヨモギで緑色にしたりしたものもあります。養蚕を行っている家によっては、質の良くない繭の色に似ていることから赤色は絶対に作らないというところもありました。
作った団子は、ネコやサルなどいろいろな形をした菓子のもなかやミカンと一緒に、団子の木(クヌギやカシ)に刺し、繭玉飾りとして座敷に飾りました。小枝に団子を刺したものを、神棚や仏壇、床の間など家中の神仏に供える他、鎮守の神社や道祖神など集落でまつっている神仏にも供えました。
正月飾りなどを燃やすことや、その火で団子を焼いて食べることに、多くの意味があるというのは興味深いことです。時代とともにその意味合いは変化していきますが、無病息災や子どもの健やかな成長を願う気持ちは昔も今も変わりはないようです。

問合せ:生涯学習課
【電話】70・5637

       

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