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市内のちょっと珍しい 文化財を紹介(14)

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神奈川県綾瀬市

綾瀬市指定文化財・木造地蔵菩薩坐像(ぼさつざぞう)

■綾瀬市域の中世の仏像
綾瀬市内には、中世の仏像が5体現存しており、うち2体が市の指定文化財に指定されています。
1体は大法寺の木造一塔両尊像で、仏像に年号〔永正13年(1516年)〕が書かれており、紀年銘がある仏像としては市内最古の仏像です。もう1体は小園地蔵堂の木造地蔵菩薩坐像で、記録はありませんが仏像の造りや特徴から市内最古級の仏像と類推されます。両像は、市内に現存する最古級の仏像として、綾瀬の中世を今に伝えています。
綾瀬市域の中世を語る資料は少ないため、本シリーズで紹介した中世の石造物と併せて、綾瀬の中世を知る大変貴重な資料です。
今回は、小園地蔵堂の木造地蔵菩薩坐像を紹介します。

■綾瀬市指定文化財・木造地蔵菩薩坐像
木造地蔵菩薩坐像は、小園地蔵堂内に安置されている寄木造(よせぎづくり)の仏像で、像高が17cmとやや小さめですが、よく引き締まった面相や、猫背でゆったりとした量感をもつ体部、垂下する衣の表現など、像全体がよくまとまっており、巧みな技術で造られた仏像だということが分かります。衣の表現は、着衣の袖や裾を大きく下方に垂らす「法衣垂下(ほういすいか)」と呼ばれる造りで、中国の宋や元から日本に伝わり、鎌倉を中心に14世紀ごろに広く流行しました。技法の特徴や各部位の造りから、本像は14世紀末から15世紀前半ごろに制作されたと考えられます。
また、本像の台座には、延宝4年(1676年)や正徳4年(1714年)の鎌倉仏師の名前が墨書きされていることから、像や台座の修理が複数回にわたって行われたことが分かり、制作されてから現代に至るまで、長く信仰され、大切に守り伝えられてきたことがうかがえます。

■小園地蔵堂
小園地蔵堂は、木造地蔵菩薩坐像を本尊とするお堂です。元は東光山延命寺という大きい寺院で、相模国分寺(海老名市)の隠居寺であったと伝えられています。創建年代は不明ですが、同像の台座裏に「延宝(えんぽう)四丙辰(ひのえたつ)九月十五日当寺五世(とうじごせい)東光山延命寺」と書かれており、延宝4年(1676年)の時点で5代目住職となっていることから、室町時代から江戸時代初期の間と考えられます。明治時代に一度火災により焼失しましたが、その後再建され、現在は地蔵堂として親しまれています。本像の他に、回り地蔵や涅槃釈迦如来像(ねはんしゃかにょらいぞう)(寝釈迦さま)も安置されており、釈迦の日である4月8日前後には無病息災を願う伝統行事である「花まつり」が開催され、小園地区の歴史や習俗を伝える場所でもあります。
今年の花まつりは4月7日(日)に行われ、伝統行事を体験したり、木造地蔵菩薩坐像をはじめ、普段見ることができない各像を見学したりすることができます。
アプリで行う目久尻歴史スタンプラリーのスタンプ設置場所の一つでもあります。花まつりと併せて散策してみませんか。

問合せ:生涯学習課
【電話】70・5637

       

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