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〔特集〕蘇(よみがえ)る当時の暮らしと絆 新指定文化財と綾瀬の講中(こうじゅう)道具

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神奈川県綾瀬市

「蓼川谷戸講中の講中膳椀及び帳簿類一式」指定記念!! 令和7年度文化財企画展

今年3月に市で初めて、暮らしの道具である“民具”を市の指定文化財に指定しました。その記念として企画展を開催します。地域の歴史や人々の暮らしと知恵を現代に伝える“民具”を通して、明治から昭和までの暮らしや文化、“互助協働”の文化に触れてみませんか。

日時:8月4日(月)〜24日(日)9時〜16時
※初日は13時~16時。8月11日(月・祝)は閉室
場所:市役所7階市民展示ホール

○関連イベント
(1)展示解説
日時:8月10日(日)・24日(日)10時~11時、14時~15時

(2)特別講座
講中膳椀をさらに詳しく知るとともに、綾瀬の講中道具について学びます。講師は神奈川大学日本常民文化研究所客員研究員の神かほりさん。
日時:8月23日(土)11時~13時(10時30分開場)
場所:市役所314・315会議室
申し込み方法:8月1日~22日に本紙右の二次元コードで電子申請、同課へ電話かメール
【メール】[email protected]

○指定文化財ってそんなにすごいの?
指定文化財は、文化財保護法に規定された、建造物や考古資料、歴史資料、音楽や工芸技術、伝統芸能、その他記念物などさまざまな文化財のうち、歴史・芸術・学術上価値が高いと評価され、指定された文化財のことです。「市指定文化財」は、綾瀬市の区域内にあるもののうち、“市の歴史や文化などを考えるうえで欠かすことができない文化財”と評価され、指定したものを指します。
市内では、市の指定文化財(市民・市所蔵、遺跡含む)が18件、県指定文化財が6件、国指定史跡が1件、計25件の文化財が指定されています。

○蓼川谷戸講中とは?
現在の蓼川1丁目から3丁目の家々で構成されていた互助協働組織です。講中は、今でいう自治会のようなもので、助け合いを目的に集まり、結婚式や葬式の対応、集落内の道や水路の維持管理などを行っていました。旧蓼川村は、谷戸(やと)・原(はら)・中分(なかぶん)という3つの集落からなり、蓼川地区の厚木飛行場建設から免れた谷戸の一部の家々が戦後の蓼川谷戸講中の基になりました。

○なぜ互助協働組織が必要だった?
当時、市役所はもちろん専門業者もなく、地域の運営や整備を自分たちで行う必要がありました。そのため、各家々で相互に助け合い協力し合うことで地域を運営したのです。
特に、冠婚葬祭は昔も特別な行事であったため、普段使わない食器や道具を使って豪華にしました。しかし、人手も足りず、使う道具も高価であるため共同出資して購入・管理を行い、講中で協力して行っていたのです。

○なぜ指定したの?
地域の文化や人々のつながり、村の運営手法などが分かる講中道具は、歴史に残りにくい“地域の歴史”を伝える重要な資料と評価されたため、指定しました。

○民具の展示で何が分かるの?
当時の人たちの息遣いを感じるものが多くあり、現在の私たちに通ずるところ、今とは大きく異なるところ、いろいろな面から今と昔を比較することができます。

■企画展のポイントand注目の展示資料
本講中の講中膳椀が一式残っている他、器具の使用や購入の履歴が残された帳簿類も併せて残されていたため、講中文化を復元することができる資料と評価されています。本講中は、厚木基地建設による地域の人々への影響を知る資料としても評価され、政治がもたらす人々への影響がうかがえる重要な資料です。

○講中が開始したころの箱
箱には購入した方の氏名、日付など、さまざまな情報が書かれています。この文字により、明治期に購入した箱が平成期まで使われていたことが分かり、共有で購入した物を大切に使っていた歴史を感じさせます。

○連名札
講中を運営していた各家の代表者の名前が書かれた一枚の木札です。講中に何軒の家が参加して、運営していたのかが分かる貴重な資料です。名前が残っているというのも、地域の歴史をひもとく上でポイントになります。

○朱塗りの椀類など
朱塗りに金の絵付けがされている漆椀類は、高価なものであり、おめでたい「ハレ」の日にしか使わない食器です。豪華な椀類で、節目の日を彩っていた文化は、今に伝わる美意識のルーツを感じさせます。他にも、朱塗りの道具類があります。

○徳利(とっくり)とおちょこ
白鳥徳利、燗(かん)徳利、幾何学模様の盃(さかずき)や鶴模様のおちょこなど、種類が複数あり、個数も多く用意されています。冠婚葬祭では、特別に日常的には飲まないお酒を飲んで盛り上がっていた様子がうかがえます。

○その他
展示の一角では、蓼川谷戸講中を始め、市内各地の講中についても紹介します。現在市に寄贈されている、深谷を始めとした各地の講中膳腕や道具も展示します。そろえる器の講中による違いなども見比べることができます。また、講中が盛んだった昭和期の綾瀬についてもミニコーナーで紹介します。

■ミニ企画展
日時:8月1日(金)〜12月26日(金)
場所:市役所3階渡り廊下文化財展示コーナー
▼綾瀬の指定文化財をご紹介―遺跡編―を実施
市指定文化財に指定した市内各地の遺跡や、そこから出土したさまざまな模様や形の石器・土器などの展示を行います。遺物の展示は、上土棚南遺跡、道場窪遺跡、早川城山遺跡を中心に行います。吉岡遺跡群や寺尾遺跡など、県の指定文化財に指定されている遺跡は、パネルで紹介します。魅力ある綾瀬の遺跡をご覧ください。

問い合わせ:生涯学習課
【電話】70・5637

       

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